ソラ達はノーバディが言った人物の名を聞くと驚愕した。アンセム・・・この人物は、2年前ソラが倒したはずだからだたはずだからだ。そしてソラが不思議そうに口を開いた。
「アンセム・・・だと?」
「ソウダ、オマエガニネンマエニタオシタアンセムダ・・・ソシテコレイジョウハナスヒツヨウハナイ!シネ!」
ノーバディが向かって来る。ソラは、自分が真っ先に狙われるだろうと思い、防御の姿勢をとった。しかし。
「うわ!」
「きゃあ!」
ノーバディは、ソラを無視しリクとカイリを狙い、鋭い爪で引っ掻こうとしたが、リクはギリギリでカイと同時にその爪を避けた。地面に爪が当たると、その場所は腐食していた。ソラと戦っていた時は本気では無かったらしいく、ソラはその光景に驚愕し、なぜ自分は狙われ無かったのか疑問に思っている。
「カイリ!リク!ノーバディ、なぜ俺を狙わない!」
「チッ。オマエヲネラワナイリユウ?ソレハメイレイダカラダ。メイレイデナケレバマッサキニキサマナドコロシテイル!」
喋らないと言っといてよく喋る奴だ。そしてノーバディは跳躍し、またリクとカイリを狙った。リクは避けたがカイリは、震えている。なにしろカイリはこんな事は今までに一度も会ったことが無かったからだ。
カイリの耳に何か鈍い音が響いたが痛みは無かった恐る恐る眼を開けると・・・目の前にはソラが立っている。
「カイ・リ・・・無事・・か・・・?」
「「ソラ!!」」
そう、ソラは自らを盾にしてカイリを守ったのだ。だがソラは倒れない。倒れるどころかノーバディに向けて走り出した。親友を助けたい一心だろう。しかし重傷のソラに倒せるはずは無く。
「はああああああ!!」
「ジャマダ!!」
ノーバディに殴られ吹っ飛んだ。
「つッ強す・・・ぎる」
ソラは気を失い、倒れた。もはや動く事さえ出来無いだろう。
「「ソラ!!」
二人はすぐにソラのもとに駆け寄った。
「ソラ!ソラ!起きろ!」
「アンシンシロ。シニハシナイ。ソノカワリオマエタチガシヌノダ!ツイデニオシエテヤロウ!ワレノナハ クロウ!イマノトコロダト、ロクバンメニツヨイノーバディダ!」
六番目、なんて中途半端なのだろう。ノーバディ・・・クロウはそう言い再度ソラの側にいるリクとカイリのもとに走り出した。リクは避けようとしたがカイリがその場から動こうとしないので動けなかった。
(くそ、ソラでも勝てないのに俺に勝てるのか?)
リクがそんな事を考えている内にどんどんクロウが迫ってくる。
(いや勝たなければいけない。ソラが気絶してる今、ソラとカイリを守れるのは俺しかいない。)
リクの周りになにかが見えてきた。
(守れるか?俺に?いや。守らなくてはいけない!絶対に!!)
覚悟を決めたその時。リクの体が闇に包まれた。しかし闇なのにそれはなぜか明るく見える。そしてリクの頭の中に不思議なそれでいて暖かい感じがする声が聞こえた。
―ついに目覚めたか闇の十三機関よ―
(?・・・誰だ?)
そんな声が聞こえているときリクの周りがスローになっていた。つまりノーバディとカイリの動きも遅くなっている。
―私は、闇の十三機関の力、つまり君の力だ―
(闇の十三機関?闇だと?俺の中にもう闇はない!)
―勘違いしてもらっては困る。闇といっても光の勢力の闇だ―
(光の勢力の闇?よく分からないな)
―今は分からなくてもいい。そのうち分かる。とりあえずあのノーバディを倒すのだろう?ならば使え、闇の十三機関の力を―
よく見ると周りが遅いといっても、もうクロウはすぐ近くに来ていた。
(ちっ考えている時間は無いようだな。しょうがない使うか!)
「・・・滅せ!ダークフレイム!」
即座に頭に入ってきた魔法をリクは唱えた。
リクの手、いや突如現れた鍵の様な剣、キーブレードから黒い炎が出てクロウに飛んで行きそして命中した。さらに命中した後も炎はクロウから離れずにダメージをあたえ続けている。これにはクロウも耐えきれず。海の方に走って行った。
「これは、キーブレード!」
リクは、驚いていた。なぜならこの世に存在するキーブレードはソラと王様が持っているやつだけだと思っていたからだ。そのキーブレードが手元にある。一瞬王様に何かあったのか?と考えたが王様のとは形が違った。何より黒いのだ。
「クッ!ジュウサンキカンノチカラガメザメタカ!コノママデハブガワルイ。イッタンヒクカ」
クロウは闇に包まれ消えた。しかしリクは、そんなに嬉しそうではなく戸惑いと驚きの表情だった。そんなリクにカイリは聞いてみた。
「リク・・さっきのは?それにその手に持っているのは?」
「分からない。とりあえず闇の力らしい。それからこれは多分キーブレードだ」
「闇の!?」
「ああ。だけどこの闇の力とキーブレードは光の勢力の闇の力らしい」
二人の上に疑問符がありそうだ。その時微かな地鳴りがし、大地が揺れだした。
「なんだ?」
そして先ほどよりも強い地鳴りが起こり、先ほどとは比べ物にならないほどの揺れが起こりだす。何が起こっていると言うのか。その答えはリクがだした。
「まずい!世界が壊れ始めているんだ!」
「エエ!!どうするの!?」
「どうするって。・・・どうすれば。クソ!」
「ソラを連れて早く来い!!」
リクとカイリが会話しているといきなり知らない声が聞こえた。リクとカイリは声が聞こえた方を向くとそこには真っ黒のコートを着た男が立っている。それから男の後ろには、黒い扉がある。
「何を戸惑っている!早く来い、死ぬぞ!」
戸惑っているリクとカイリを見て男が急かした。しかし急に現れた知らない男に来いと言われて戸惑わない奴はいないと思うが・・・。とりあえず二人は男の言うことをきき。ソラを担いで走りだした。
「来たな!この世界はもう保たない早くこの闇の扉をくぐれ!!」
「闇の扉!?」
「大丈夫だ!害はない!この先はトラヴァースタウンに繋がっている!」
「だけ……」
「いいから入れ!」
「ぐあ!てめ!」
男は強引にリクとカイリを蹴り入れた後自分も入って行った。
そして世界が一つ消えた。