ねえ、君は願いって何だと思う?

願い?そうだな。欲望かな。

何でそう思うの?

何でって。人間は自分勝手だ。自分がしたい事しか頭に無いような奴等は一杯いる。
そんな事を考えてる奴等が居るから俺はそう思う。

ふ〜ん。じゃあ人の為に願う事は?

さあな。結局は人それぞれ。考え方は一人一人違うんだよ。

良く分かんないや。

まあな。

じゃあさ、君は流れ星に願い事をした事がある?

無いな。そんな事しても願いなんて叶わない事は歴然だ。

夢が無いね。

当たり前だ。

威張らないでよ。
 


ENDLESS DARK Second Prologue 1 〜流れ星〜


何処までも何処までも続く草原。風が優しく草を撫でる。見渡す限り緑しか見えない。いや、茶色い道、茶色い幹、青い川、湖、空。他にも色は一杯ある。そして茶色い道の真ん中、一人の少年と二足歩行で歩く犬とアヒルがいた。少年は頭の後ろで手を組み長い長い道を歩き続ける。犬とアヒルはその後を着いて来る。

「ねえ、ソラ。これからどうするの?」

アヒルが前触れも無く突如口を開いた。これからどうする。この見渡す限り大草原が続いている場所の真ん中で言われても困るであろう。だが、少年、ソラは何の迷いも無く答えた。

「決まってるだろ?早く光りの扉を捜すんだよ」
「でも、プルートを見失っちゃったんだよ」

今度は背の高い犬が答えた。表情は二匹、いや二人共暗い。しかしソラだけは妙に明るい表情だ。二人の不安な言葉を聞いても尚前向きでいられる。只の馬鹿なのか、それとも捜している物を必ず見つけられると確信しているのだろうか。どちらにせよ、良いことには変わりないだろう。

「ドナルド!グーフィー!信じれば大丈夫だよ!俺達が信じていればきっと光の扉も見つかる。だからさ、今は兎に角歩こう!」
「フフ。やっぱりソラは前向きだね」
「ちょっとは焦って欲しいような気もするけどね」

ソラの前向きな答えに犬、グーフィーがのんびりとした口調で答えた。そしてアヒル、ドナルドは少し皮肉めいたように答えた。が、ソラにはそんな事はお構いなしと無視して歩き続ける。そんなソラにドナルドはため息をついていた。

この三人は知っている通り闇の賢者、アンセムを倒した三人である。現在光の扉を捜して歩き回っているのだ。途中王様の忠実な愛犬、プルートに出会うが見失いソラを除いて二人は途方に暮れていたのだ。そしてプルートを見失ってから一週間経っている。未だに道は続き、プルートも見つからず、光の扉も見つからない状況なのだ。

「焦ったって仕方無いだろ?だったら急ぎながらのんびり行こうぜ」
「言ってる事が矛盾してるよ」
「気にすんな!」

ソラはずっと明るい表情でドナルドに答えた。グーフィーはその光景を楽しそうに見ている。そう、こんな事は既に日常茶番時と化しているのだ。

もうすぐ夜になる。ずっと歩き続けて結局何も無かった。日も落ちて来たので三人は道から外れて草原の真ん中で野営をする事にした。ドナルドの魔法で草に火がつかないようにしてたき火を燃やし、三人は夜の草原に身を任せる。夜空には星がキラキラと輝いていた。

「あの星のどこかに俺達が旅した星があるんだよな」
「多分ね。肉眼じゃ確認出来ないけど」

ソラはその言葉に苦笑した。確かに確認は出来ない。ドナルドはそんな事は分かり切っているのについ言葉に出してしまう。そんな事を思いながら見上げている星の何処かに自分が住んでいた星。好きな人が待って居る星、ディスティニーアイランドの事を思い浮かべていた。丁度その時、星が落ちた様に見えた。流れ星だった。

「わあ。綺麗だね」
「そうだね」

グーフィーがのんびりした口調で言った。ソラは本当にそうだな、と思いながらグーフィーに相槌を打った。

そしてその時幼い頃、リクと一緒に流れ星を見た事を思い出した。夜に離れ島にリクと一緒に残り星を観察していた時だった。流れ星が落ち、二人で綺麗だなと思いながら見ていたのだ。そしてその後帰ったら親にこっぴどく叱られたのを思いだし、苦笑した。

「…そう言えばさ、流れ星に落ちる前に三回願うとその願いが叶うって言うの、知ってる?」
「知ってるよ。僕も一回やった事があるよ。でも無理だったけどね」

ソラの問いにグーフィーが笑いながら答えた。何を願ったのだろう。ソラはそんな事を思いながら星空を見上げていた。星を見ていると色んな事を思い出した。アリス、ヘラクレス、ターザン、アラジン、ピノキオ、アリエル、ジャック、ピーターパン、ビースト、それからレオン、ユフィ、エアリス、シド、クラウド、そして、リク、カイリ。様々な冒険を思い出し目を瞑り、深い眠りへとついた。