リレー小説、一つ終了しました。
正直終了するか微妙だったのでかなり嬉しいです。
ほんとね、最初はもう、あ〜、何かやりて〜。みたいな気分でやっていたのですよ。
だから殆ど書き込みも無いと踏んでいたのですが、予想を上回り、書き込みをして下さったかたも多々いたので助かりました。
もう、ねぇ、僕だけ書いて誰も書かないなんて言ったら目も当てられませんね。
幸いそう言う自体は免れましたが。
日記にて書いて下さいって言った事が何回あるかなんて考えたくもありませんが。
後ですね、リレー小説書く為の注意点にて、終わらせ方を書くの忘れていたんですよね。
ふと、気づいたんですよ。誰が終わらせるんだろう、って。
で、適当に終わらせて下さいって書こうとしたんですけど。
すっかり忘れてまさしたとさ!(笑(うな
何はともあれ、書いて下さった方には本当に感謝しています。

内容についてですが、僕が書き始めた奴なのですけど、本当に全く何も考えていませんでした。
−まぁ誰か繋げてくれるさ!−←(楽観的
いや、マジで繋げてくれたので超大助かりです。
しかも感動物ってどうしても書け無いからラストも書いて貰って更に超大助かりです。
でもね、超大助かりだったんですけどね。
皆さん上手すぎなんだよ。(逆切れ(ひがみとも言う
だってあれだよ。
僕、数行書いてかなり分かり辛いのにさ、皆さん纏まってる上に描写上手ぇ。
有り得ないよ。超有り得ないよ。しかも僕の書いた最後の一文ってさ、
「直ぐに小ぶりの雨は大ぶりに変わった。まるで突然泣き出した人のように。」と「―――何故君は泣いているの?」ですよ?
完璧次の人に任せてるの丸分かりです。
駄目だ、書けば書くほどボロが出る。

書き込んで下さった らふでび。さん、電気さん、途さん、rekkaさん、都野さん、絢海尊人さん、本当にありがとう御座いました。
メールか掲示板で後書きみたいなの書いて下さると嬉しいです。
ここに載せたいので。我侭ですが宜しくお願いします。
―極月―


















本文と、書いてくれた方の名前が途中に書いてあります。



〜あの空の向こう〜


その日は曇りだった。別段気になる事でも無く、人々はただ雨が降るか降らないかを案じるだけである。

小鳥の囀りも晴れの日とは違い、活き活きとした感じは無く、どこか悲しくも思える。勿論鳥の気持ち等分かる筈も無く、またその日が晴れでは無く、曇りと言う事でそう思えただけだった。

誰かが言った。雨だ、と。上を見上げれば、小さな水が落ちて来て、顔に当たるのが分かる。

直ぐに小ぶりの雨は大ぶりに変わった。まるで突然泣き出した人のように。
―極月―



僕は彼女を思い出していた。

ちょうどこんな、突然の雨に騒ぐ群衆の声を聞いた日。
小鳥たちの寂しい囀りが大気を満たしていた日。
太陽が見えなかった日。

彼女はそこにいた。

だから、僕はいまでも語るんだ。
少しでも、ほんの少しでも彼女の話が持ち上がるとね。

彼女は僕を見ると、微笑んでくれた。
その笑みを見るだけで、僕はただ救われたんだ。


たいていの人間は信じてはくれない。

僕程度の人間の話など誰も聞いてくれるはずもないし(世間にはもっと聞かなければならない話が溢れているので。)、大体、彼女と僕とではあまりにつりあいが取れなかった。

だから、僕は歌うんだ。
出会いは、こんな日、こんな天気の下で僕が歌っていた時のことなんだから。
―らふでび。さん―



 ―――はじめまして。

 彼女はそう言って、僕に微笑んで見せた。
 驚いた。
 小さなアンプにギターをつないで、駅前で歌っているのはいつものことだ。無機質な人の群れが、僕になど目もくれずにただ足早に歩いていく。彼らの心に、何か問い掛けたくて。そうやって、ただ歌っていた毎日。
 彼女は僕に声をかけてくれた、初めてのひとだった。
―電気さん―



僕はギターを奏でることを忘れ、呆然と彼女を見つめていた。
まっすぐな、視線。
温かい、視線。
そんな視線を向けられることなど、今までなかったから。

太陽の光がない、どんよりとした駅前。セピアに見える人の波。
その中で、彼女だけは輝いて見えた。

呆然と動かない僕に、彼女はちょこんとかがみ込んで笑みを深くすると、言った。

―――ねえ、続けて。あなたの、歌を。
―途さん―



自分の身に何が起こっているのか分らなかった。

僕に微笑みかける彼女が、自分に歌ってと言ってくれた。
それは理解できる。それは分るんだけど―――

何故だろう。ギターを持つ手が、弦を奏でる指が、歌い慣れてきたはずの声が―――この時だけ、妙に震えた。
指先に全神経を集中させる。心臓の鼓動が指先にまで伝わる。
彼女の視線を感じるごとに、緊張感が増していく。

その理由が分らなかった。こんなこと、今まで無かったのに。
―rekkaさん―



それでも歌った。

初めての感情。

彼女はただ立ち止まってくれただけ。
声をかけてくれただけ。

それはただの気まぐれかもしれない。
もしかすると、そこには悪意さえあったかもしれないんだ。


僕はただ、初めて自分が頼りにされている気がした。
自分自身の存在を感じた気がした。

自分自身の存在を感じながら僕は歌った。
いつもと変わらぬ、自作のバラードを。
自分で作った音楽に、つたない歌詞をつけただけの陳腐な歌を。


最後のフレーズは一瞬でやってきた。
弦が弾く手が重く、息がかすれ始める。

生きている。
僕は確かに、この灰色の街で生きている。

ふと、彼女が気になった。

彼女は泣いていた。
―らふでび。さん―



僕の歌を聞いて泣いた人、という人は今までに見たことが無く戸惑った。何故泣いているのか分からなかった。同時に寂しく思う。彼女が何故泣いているのか分からないから。

彼女が泣いた理由。考えても分からない。嫌な事を思い出させたのだろうか。それとももっと他に理由が。

とにかく僕は立ち上がり、彼女に近寄って言った。

―――何故君は泣いているの?
―極月―



「どうしたの?」
 僕の声は、彼女の背景となっている雑踏に踏み潰される。右からの人波、左からの人波、忙しない早足で交わりあっている。それぞれの足元に降り注ぐ心模様。彼等にも模様があるように、彼女にも模様があるに違いない。
「なんでもない」
 土砂降りと雑踏にかき消されて聞こえていなかったかもしれないけど、そう言って、僕はまた弦に指を絡ませる。すべてを淡く淀ませる雨の風景だったけど、このギターとしゃがんで瞼を閉じる君の姿は、なんだか哀れに見えた。そう、哀れだ。人生の負け組という名のレッテルを貼られたような、惨めさ。両膝に肘を置いて頬杖をついている君の細い腕。手首から肘へと垂れる一粒の雨雫が、なんだかとても哀れで。
「負けそうになったら目を開けろ。負けると思ったら前を見ろ。負けたなら前に向かって走ればいい」
 僕の歌の丁度サビを歌い上げた時、彼女は眼を開けていた。細く、力なく開かれた瞳。彼女の瞼から落ちる雨雫は、やっぱり哀れだった。
―都野さん―



―――いい歌ね。

 彼女はそう言った。何かが抜け落ちたような瞳は、弱弱しく僕を見つめている。

―――わたしは負けちゃったの。

 どういうことだろう。
 何に、負けたんだろう。
 それは聞いていいことなのか、いけないことなのか。僕は迷っていた。
 彼女はそんな僕の様子を察してくれたのだろうか。

―――わたしは、わたしに。負けちゃったの。

 そう言って、くしゃりと笑って見せた。
 それはからからに渇いた花のようで。
 握ったら潰れてしまうような、そんな笑顔。

 そのときになってようやく僕は気づいた。


 彼女の身体は透けていて、向こう側の雑踏が見えていた。
―電気さん―



ついさっきまでの勢いはどこへやら、雨はあっさり引き上げ、代わりに今は雲の合間から夕日が顔を覗かせている。


あの時僕は、声を出せなかった。聞けなかった。
初めての気持ちと、彼女の様子。
よぎった不安と迷いに戸惑っていた僕に、彼女は笑いかけてくれたのに。
ようやく自分の全てを振り絞って、「君は・・・」と声に出した時にはもう君は、どこにもいなかった・・・・・・。


結局、あの出会いはなんだったのだろう。
今日の雨のように突然現れて、去っていった彼女。最後に君が残していった笑顔とあの感触が無ければ、僕でさえ夢だったのではないかと思うようなあの日。

だから、あの日が思い出されるような雨の後は、いつもこの場所に来る。
もちろん、また君に会えるかもしれない、と心のどこかで思ってないわけでは無いのかもしれない。
でも、君はそれを望んでいないと思うから。

だから、歌うんだ。僕の思いを、全てを込めて。
道行く人々、そしてあの空の向こうにいる気がする、君に届くように。
―絢海尊人さん―




fin



本当にありがとう御座いました。
7/3/04